(401)東リのコンポジションタイル「グラノーブル」を選んだ理由
前回、熱海のマンションの床に張る素材として「コンポジションタイル」を選んだ経緯について書きました。
今回は、僕が実際に採用した東リの「コンポジションタイル」2種類(「マチコV」と「グラノーブル」)をご紹介し、なぜ後者を熱海のマンションに選んだかをお話したいと思います。
■東リの「コンポジションタイル」をおすすめするワケ
床材といえば、僕がいつも木目のフロアタイルを愛用しているサンゲツも有名ですし、何かとおしゃれリフォームに便利なアイテムを開発しているサンワカンパニーにも扱いがあります。
実際、僕もショールームで実物を見たり、サンプルを取り寄せたりしました。
サンゲツのその名もずばり「コンポジション」。水面のような独特な模様が目を引きます。わりと主張強めなので、立った状態で床を眺めても白い模様がしっかりと感じられます。
一方、こちらはサンワカンパニーの「ザ・Pタイル」。手垢の付いた感のある“Pタイル”をあえて名乗りつつ、表面には塩ビタイルらしからぬザラっとしたマットな質感を漂わせるあたりはさすが。カラーバリエーションが少ないのが難点ですが、ホワイト系で決め打ちするならぜひ検討をすすめます。
どちらも良い商品なのですが、それでも僕は東リの「コンポジションタイル」をおすすめしたいと思います。
理由は、ラインナップの充実ぶりが突出していて、比較検討がしやすく自分の希望にベストマッチするものが見つかる可能性が高いからです。
■オーソドックスでリーズナブルな定番「マチコV」
まずご紹介するのが前回もちらっと触れた「マチコV」。世田谷のマンションに採用しました。
【東リ】マチコV
発売は1963年ですでに60年近くを経た“古典”とも呼ぶべき「コンポジションタイル」。
まるで女性の名前のような一風変わった名称は、東リの「技術提携先であるルベロイド社のブランド名「MATICO」が由来」(カタログより引用)なんだとか。
カタログに掲載された当時の商品広告もレトロでいい感じ。「床材のハイファッション」というキャッチに時代を感じます。
ロングセラーだけあって「マチコV」には、クセのない質感・カラーバリエーションの圧倒的な豊富さ・リーズナブルな価格と三拍子そろっています。
前回ご紹介したとおり、うっすら筋状の模様が入っている以外、フラットな表面なので使いやすいデザイン。
色数も豊富で、写真はカタログの1ページですが、これでもほんの一部です。「ターコイズ」や「レッドオレンジ」など、一般住宅ではあまり床に使用されないような色も網羅されているので好みの色は確実に見つかるはず。
僕自身はグレー系を中心に検討しました。
そして。
なんといっても価格がリーズナブル。
公式の定価は1ケース「9,570円(税込)」ですが、実際の小売り価格は5千円から6千円ほど。平米単価に換算すると1,500円ほどとなり、床材としては最安値ともいえる価格帯に属するのもありがたいです。
世田谷のマンションに選んだ色は「MV35」の「タープ(Taupe)」。
施工は業者さんにお願いしたのですが、施工の手間賃なども含めても平米単価で5千円を切りました。いわゆる“フロアタイル”=「複層ビニル床タイル」よりもさらに安いので賃貸マンションを営む方にも自信を持っておすすめできます。
■大きめサイズで洗練された雰囲気の「グラノーブル」
「マチコV」以外にも、東リはさまざまな「コンポジションタイル」を販売しています。
タテに縞模様の入った「リフライプ」をはじめ、流れるような濃淡が入った「ストレイン」などもありますが、僕が熱海のマンションに選んだのが「グラノーブル」です。
【東リ】グラノーブル
東リのホームページでは「雲柄」と形容されていますが、うっすらと入るていどのデザインとなっています。
個人的には「ややムラのある無地」といった印象を受けたのですが、この塩梅がちょうど心地よく感じました。
先ほどの「マチコV」とくらべてみましょう。
「斑入り」と呼ばれる「マチコV」のデザイン(左)よりも、「雲柄」の「グラノーブル」(右)のほうが、よりモダンで洗練された雰囲気を持っていて、リノベーションでも使いやすいのではないかと思っています。
サイズについても「グラノーブル」のほうがひとまわり大きいのも気に入りました。
「コンポジションタイル」は施工時に格子状の継ぎ目がうっすら残るので、サイズがちがうと印象も異なります。
「マチコV」は30センチ角なのに対し、
「グラノーブル」は45センチ角と1.5倍のサイズ。
ごらんのとおり、30センチ角の「マチコV」にくらべると、45センチ角の「グラノーブル」はよりゆったりと広めな印象を与え、落ち着いた雰囲気を醸し出してくれます。
ネックはコスト面。「マチコV」とくらべると平米単価はやや高め(およそ3,000円)で、ほぼ倍の価格になります。
倍の金額を出すだけのちがいを感じられるなら「グラノーブル」、コストパフォーマンスを追求するなら「マチコV」ということなのですが、ご注意いただきたいのは、「グラノーブル」が高いというよりは「マチコV」が安すぎるわけで、他のさまざまな床材と比較すれば「グラノーブル」も安価な部類に入るといっていいと思います。
デザイン・サイズ・価格――総合的に考えた結果、熱海では「グラノーブル」を採用することになりました。
■やや濃い目のグレーを選ぶことで見た目に安定感を出す
では、「グラノーブル」の中でどの色を選べばいいのでしょうか。
僕が初めて知ったときは、まだリニューアル前でブラウン系やベージュ系のラインナップもありましたが、今年の夏のリニューアルで「モルタル調のカラーパレットに刷新」(東リのホームページより)されました。
躯体あらわしの我が家に合う色はどれでしょうか。
これは「グラノーブル」と「マチコV」のサンプルを実際に床の上にならべたところ。「グラノーブル」のほうはカットサンプルなので実物よりサイズが小さいのにご注意ください。
こうしてみると、ライトグレーからダークグレー、暖色系から寒色系まで、さまざまな色があると実感します。う~む、悩ましい。
「グラノーブル」の5色のサンプルをならべました。
「これはちがうかな」という色をひとつずつ落としていき…
残ったのは「GNT7512」(左)と「GNT7511」(右)の2色。
天井をバックに見てみたり、
コンクリートエフェクトペイントで塗装した壁とならべてみたり、
珪藻土ペイントで塗装した巾木の前に置いてみたり。
室内にはさまざまなグレーが存在するので、どっちのタイルを選んでも、どこかで色のズレが生じるのは避けられないのがわかります。しかも、昼と夜とでは色の見え方もちがい……色選びは本当に難しいです。
悩んだ末、最終的に選んだのは色の濃いほう=「GNT7512」でした。直感もありますが、あえて言葉にすれば、濃い目のグレーを床に据えたほうが部屋の印象に安定感が出る気がしたのです。一般的に、黒に近い色の床を選ぶと部屋が暗くなるのがデメリットと言われますが、この部屋は日光がよく入るので暗さの心配はしませんでした。
次回からは、この「グラノーブル」をDIYで直張りしていきたいと思います。