(96)台風19号後に、母屋の漏電ブレーカーと暗闘した話
今年の台風はすごかったですね。
9月に千葉を襲った台風15号の特徴が強風なら、10月に東京に打撃を与えた台風19号は雨量が特徴。
幸い、僕が管理する世田谷のマンションは多摩川から距離があったので、ほぼ影響は受けませんでした。
当初は武蔵小杉やら二子玉川やら、人気の住宅街にフォーカスされていた台風被害に関する報道も、数日経つと徐々に東京西部の山間部の被害を取り上げるようになりました。
日の出町や奥多摩の日原、檜原村など、あちこちで道路が崩落し、あきる野市では秋川沿いの住宅の土台が崩れた様も報じられました。
さすがにこれはまずいと思い、山小屋のお向かいさんに電話して様子を確認することに。
聞くところによると、我が家より数十メートル登ったところにある貯水池があふれてしまい、家の前の道路が水の通り道になり、川のようだったそうです。
この舗装された道路が川に?
にわかには信じられません。
お向かいさんは役場に避難したとのことで、幸い家には被害が出なかったそうです。
一時避難から帰宅した翌日には我が家のまわりもざっと見てくれたらしく、目立った損傷はなかったと教えてもらえました。
台風報道も落ち着いた頃、深夜に山小屋の様子を見に行くことに。
ところが、いつも通る道路が土砂崩れで通行止め。
いきなりの先制パンチです。
なんとか夜の峠道を迂回して山小屋の母屋にたどり着いたものの様子がおかしい……いつもはクルマを停めただけで点灯するはずの玄関のセンサーライトが点かないのです。
電球が切れたのかと玄関を開けて中に入り、照明のスイッチを入れたものの、電気がつきません。
マジか……停電?
携帯のライトを頼りにキッチンにあるブレーカーまでたどりつきましたが、ブレーカーは落ちていませんでした。
台風で電線が影響を受けて、我が家だけ停電したんでしょうか?
雨水が天井裏から漏れて電気コードを濡らしたとか?
そう思ったところで、はたと気づきました。
もう一度ブレーカーをよく見ると、案の定、漏電ブレーカーが落ちていました。
丸で囲んだ箇所が漏電ブレーカー。
ふだん見ることのない箇所なので、最初は見落としていたのです。
漏電ブレーカーは、宅内の電気製品や電線にトラブルがあって漏電が起きると、火災などが起きるのを避けるために自動的に電気を遮断するシステムです。
これが働いたということは、どこかで漏電が起こった可能性が高いのです。
素人が原因を突き止めるのは危険も伴うのでムリは禁物ですが、できることもあります。
まずは個々の配線のブレーカーをすべてオフにします。
緑がオフの状態ですね。
それから落ちていた漏電ブレーカーを上げます。
そして、個別のブレーカーをひとつずつ上げていく(緑から赤へスイッチオンする)のです。
ひとつずつ確かめていくことで、問題のブレーカーにたどりついたときに漏電ブレーカーが作動し、原因となる大まかな場所が分かるというわけですね。
ブレーカーを上げるときの気分は「黒ひげ危機一髪」です。
ところが、なぜか最後のブレーカーを上げても漏電ブレーカーは落ちることなく、ふつうに作動しています。
なぜなんだ……。
とりあえず、家の電気が点いたので腰をおろしてゆっくり考えてみました。
留守中に電源がオンになって働いていた家電を挙げていくと「冷蔵庫」「ルームドライヤー」「空気清浄機」といったところです。
どれもブレーカー復旧後は問題なく作動しているように見えます。
どうして漏電ブレーカーが落ちたのか……うんうん考えていたら、留守中にオンになっていて、深夜には作動していないものがあることに思い至りました。
そう、床下換気扇です。
以前も紹介しましたが、第50回で書いたとおり、母屋では湿気対策の一環として床下の空気を攪拌・排気する換気扇を3台設置しているのです。
これは、室内にあるタイマーでコントロールされており、
お昼のあいだだけ動作しますから、僕が山小屋に到着した夜中は動いていません。
当然ながら漏電ブレーカーも落ちないのです。
お向かいさんの話では「家の前は川のようだった」そうですから、当然、我が家の床下にもかなりの水や泥が流れ込んでいたはず。
これは、まちがいないなと確信し、室内のタイマーの電源を抜き、その晩は眠りにつきました。
次回に続く。