(521)一段高くなったトイレの床にモザイクタイルを張った
前回、前々回とトイレのサイズにまつわる話をいたしました。
今回はトイレの床にタイルを張った話です。
まずはタイル施工前からごらんください。
以前、熱海のトイレの話でも触れましたが、古いトイレをリフォームする場合、配管の都合で床を一段高く造り直さねばならないことがよくあります。
これは山小屋のトイレの床にタイルを張る前の写真ですが、ドアに接する垂直部分は造作したベニヤ下地があらわになっているので、ここにもタイルを張る必要がありました。
今回はこの垂直部分にきれいにタイルを収めて仕上げるコツを中心にお話したいと思います。
なお、タイルDIYの基本的な手順については過去の記事と重複するので割愛します。タイルの接着についてはこちらを、目地入れについてはこちらをお読みください。
■選んだのは19ミリ×22ミリの六角タイル
立体的にタイルを張る場合、タイルの形状が難易度を左右します。
先日、洗面のニッチにタイルを張ったときは小粒のスクエアタイルを張りました。
一辺10ミリだけあって、施工が非常にしやすかったです。
一方、平田タイルのサボンという特殊な形のタイルをキッチンまわりに張ったときは、
形が複雑なので収まりをつけるのにとても苦労しました。
さて、今回選んだのはこちらのモザイクタイル。
19ミリ×22ミリの六角形=ヘキサゴンです。
この形のタイルについては僕もだいぶ前から知っていて、
業者さんに施工をお願いしたこともありましたし、
DIYを始めるようになってから初めて本格的な施工にトライしたのもこのタイルでした。
さまざまなショップで扱いのある非常にポピュラーなタイルなのですが、異なる色をミックスしたシートを扱っているショップとなるとあまり多くはありません。
今回採用したのはコバルトブルーとブラックを混ぜた絶妙なミックスタイル(MIX-01)。
以前もご紹介した作善堂さんが取り扱っています。
異なるブラウンカラーをミックスしたバージョン(MIX-02)も素敵なのでぜひ見てみてください。
■垂直面に収まりを考えながらタイルを張り付ける
では、このタイルをトイレの床に張っていきましょう。
シートを切り離しながら仮置きしていきます。
その際、基点となるのは垂直面。
六角形の一辺を床の端に合わせてならべていきます。
タイルとタイルの間にスキマが残ってしまっていますが、心配はありません。
ここには半マスタイルを張ります。このタイプのヘキサタイルはほとんどのショップで半マスを別売りしているので、たとえ商品ページに記載がなくても問い合わせてぜひ入手してください。
タイル用のペンチで割ることもできるのですが、
きれいに半分に割るのはムリ。目立たない場所ならともかく、立体部分で断面がのぞく箇所には既製の
収まりの見通しがついたら接着作業に入りますが、張り付けを始めるのもこの半マスが収まるところから。奥から張っていってしまうと手前まで張り進んできたときに微妙なズレが生じてしまい、端部がきれいに収まらない怖れがありますのでご注意を。
ボンドを塗ってから、先ほどの仮置きと同じ位置に張り付けます。
六角形の一辺を垂直面のエッジにそろえるように慎重に。
続けて半マスタイルを駆使してスキマや垂直面を埋めていくのですが、平面部分のタイルの表面と、垂直部分のタイルの側面の高さがきちんとそろうように気を付けましょう。
ときどき上から見てタイルのラインがまっすぐになっているか確認しながらの作業です。
ちなみに、立体面にタイルを張る場合、
今回のように垂直に張ったほうのタイルの側面が見える張り方と、
平面に張ったほうのタイルの側面が見える張り方の二通りが考えられますが、タイルが収まりやすいほうを選べばよいと思います。
今回は、立ち上がった床の高さがちょうどタイル1枚と半分の幅に一致したので、垂直に張ったタイルの側面が見える張り方を選びました。
この部分さえしっかり張れれば、あとはここを基点に奥に向かってタイルを張り進めていけば問題なく張れるはずです。
■ダークグレーの目地材に黒を混ぜて、より黒く
接着が済んだら、一晩待ってから目地入れに入ります。
今回はかなりしっかり濃い黒の目地を入れたいと考え、ダークグレーの目地にブラックの目地粉を混ぜてみました。実は、目地材に大量の色粉を混ぜると強度が落ちる怖れがあるそうなのですが、今回は床ということもあり、強度よりも仕上がりの見た目を優先して濃い黒を作ることをめざしました。
そのかいあってか、かなり黒くなりそう。
こいつをゴムベラで押し込んでいくのはいつもと同じ。
気になる垂直面の目地入れですが、ゴムベラだと目地が入れにくいので、
手で目地材をつまんで指で押し入れて整えていくのがやりやすいと思います。目立つところなので、欠けなどがないように丁寧に。
あとはいつもどおりスポンジや布巾で表面を掃除して、
目地入れが完了しました。
施工したばかりだと目地材が湿っているので色はほぼ真っ黒ですが、乾かすと色は浅くなります。
一晩たって乾いた後です。仕上がりの印象は濃い目のダークグレー。いわゆる黒にはなりませんでしたが、ちょうどいい仕上がりだと感じました。
ブルーとブラックのミックス、渋さもあって素敵です。
ポイントだった立体部分もとてもきれいにできました。これくらいできれば素人としては上出来です。
■壁の古いタイルを塗装してもらって雰囲気を一新
このあと業者さんによって便器が設置され、周辺の塗装がおこなわれました。
床をぐるりと取り囲んだ壁タイルはもともと張ってあったものを塗装してもらい、マットな質感に仕上げました。
塗装前は目地汚れも目立ったのでどうしようか迷ったのですが、「カチオンフィラー処理」なるものを施せばタイル塗装も可能ということで、お願いしてみました。ただ、塗装屋さん曰く「タイルの上から塗っているので、耐久性はふつうの塗装より劣ります」とのことで、そこは仕方ないです。
今回、張ったタイルですが、ちょっと離れて眺めるとふつうに黒い床のようにも見えます。主張しすぎない色合いのタイルが、壁上部のダークブルーと組み合わされて、大人な雰囲気に仕上がりました。
タイルは形も色も豊富ですが、塗装との組み合わせ次第でさらに印象が変わるのも面白いです。
そういえば、以前のリフォームではタイルから部屋のアクセントカラーを考えたこともありました。
次回もタイルの話。今度は洗面の壁にボーダータイルを張ります。