(784)質感の気に入らない木目シートの本棚をアイアン塗装で変身させる
引き続き、うちのマンション内にある事務所のリフォームについて書いていきます。
事務所の概要についてはこちらの記事をお読みいただくとして、
今回お話したいのは本棚のこと。

写真の奥に見える黒い本棚二つは実家にあったもので、もともとは木目調のシートが貼られていました。

この棚をアイアン塗料で塗装して雰囲気を一新してみました。
■アイアン塗料なら木目シートの上からいきなり塗装できる
昔は少しも気にならなかったのですが、多少なりともインテリアに関わる仕事をするようになってから、木目調のシートが安っぽくてイヤだなあと感じるようになってきました。

となると、木目がプリントされた表面のシートをどうリメイクするかがカギになります。
おそらく、塗装するのがいちばん手っ取り早い手段なのでしょうが、このシート、性能としてはなかなか優秀で、上からの塗装を簡単にはよせつけず、ふつうのペンキで塗装するとなると、けっこうな手間がかかります。
手順としては、以前、カラーボックスを塗装したときと同じになるでしょう。
シートの表面をやすりで削って荒らしてやり、塗料をつきやすくしてから、下地にプライマー(ミッチャクロン)を塗布してようやくペンキで塗ることができます。しかも、塗装面をしっかり保護したいならば、仕上げにウレタンニスを塗ってあげる必要があります。
こうして振り返っても大変な手間です。

小さなカラーボックスならいざ知らず、それなりに大きなサイズの本棚ふたつと棚板にこの作業をするだけの根性は僕にはありません。
そこで思い浮かんだのが、アイアン塗料であります。

ドイツのメーカー「シュペンパンザー(Schuppenpanzer)」が鉄の門扉などの補修用に販売している特殊な塗料で、木やプラスチックに塗っても、まるで鉄と見まごうような質感に仕上げることができる面白い塗料。toolboxやクロコアートファクトリーで取り扱いがあります。
【toolbox】アイアン塗料 2L缶(ブラック)
【クロコアートファクトリー】アイアン塗料 SCHUPPENPANZER P ブラック 2L
僕もDIYでは数えきれないほどお世話になってきました。
木製の階段や引戸をはじめ、古いキッチンをまるごと塗ったこともありましたし、スチールドアやタイルなど素人が塗るには難しい素材もこれで塗装してきました。
アイアン塗料の便利なところは、ふつうの木やプラスチックならば、特段の下処理などなしに、いきなり塗装できるという点だと思います。本来ならば塗料がのらない木目調の本棚にもいきなり塗装を施すことができるのです。
■まずは薄めてから全体をざっくり塗装する
というわけで、準備したのがこちら。

アイアン塗料2リットル、専用のうすめ液2本、ダイソーで買ったハケ、塗料を移す容器です。左奥に見えるラッカーうすめ液は、専用のうすめ液が足りなくなったときの予備として準備しました。

アイアン塗料はもともとかなり粘り気のある塗料で、よく混ぜてから容器に移して塗装するのですが、そのままだと塗りにくく感じることもあります。
塗装は複数回おこなうのですが、重ね塗りの大事なポイントは厚塗りし過ぎないこと。まず一度目の塗りはうすめ液で少し希釈してから塗るといいと思います。

そうそう、このアイアン塗料は油性でとにかく臭いが強烈なので、必ず窓を換気して作業するようにしましょうね。

一回目の塗りはまず全体を塗ることに専念し、薄く広く塗っていきます。アイアン塗料はムラも味になるので、わりと雑な塗り方でいいと思います。

棚の一区画を塗り終えたところ。

まだまだ下地が透けて見えますが、それは二度塗りでなんとかするので気にしません。ここで厚く塗り過ぎると、塗膜の中身がなかなか乾かず困ることになります。

百均の安価なハケを使ったせいか、時々、毛が抜けてこんなふうに塗装面にまぎれてしまうことがあります。クオリティにこだわるなら、良質なハケを使って、抜けたときはまめに取り除くようにしましょう。なお、今回は作業量の多さもあって、このへんにはあまりこだわらずに塗りました。

それでも、二つの棚を塗り終え、

棚板の片面を塗り終えたときにはヘトヘトでした。妻と二人で作業しても三時間はかかったと記憶しています。ざっと塗るだけとはいえ、なかなか大変でした。

特に、アイアン塗料に特有のシンナーのような臭いは、長時間かいでいるとツライものがあります。僕らは換気&マスクで作業しましたが、それでも作業を終えて窓の外の空気を吸ったときにはスッキリと感じました。
■二度目の塗りは下地の透けをなくすことをめざす

アイアン塗料はしっかり乾くまでに時間がかかります。秋だったこともあり、窓を開けて換気したまま24時間放置して乾かしたうえで、二度塗りに臨みました。

一度目の塗装で下地が透けている箇所があるはずなので、

そこに重点を置きながら全体的に塗り重ねていきます。

この二度塗りで、下地の透けはほぼ解消されるはず。

左が二度塗り、右が一度塗りで、その差は歴然。アイアン塗料に挑む方は最低でも二度塗りは覚悟しておくべきでしょう。

アイアン塗料の性質上、使い進むにつれて缶の底に粘度の高い部分が残っていってしまうので、終盤はうすめ液で全体を少しずつ薄めて濃さを調整しながら塗りました。

二度塗りが終わったところ。パッと見、しっかり色は付いたように見えますね。

アイアン塗料ならではのざらっとした質感も出てきて、手をかけたくない人なら、これで完成としてもいいかもしれません。ちなみに、二度目の塗装にかかった時間はやや短くなって二人で二時間半ほどでした。一度目と合計すると五時間半。下処理などが不要とはいえ、ラクな作業とはいえないですね。
■三度目の塗りで表面の質感に変化をつける
二度塗りの終わった表面ですが、よく目をこらして見てみると…

ところどころ、かすかに下地が透けている部分があるのがわかります。
今回はまだ塗料が少し余っていたこともあり、三度目の塗装をおこなうことにしました。

といっても、下地が透ける箇所をめがけてアクセントを付けるワンポイント塗装です。

アイアン塗料は筆先で塗料をのせるように塗ることで、

独特の凹凸を付けることができます。

この塗装をするときは缶の底に残ったねっとりとした部分が活躍します。

これを盛るように塗り付けることによってアイアン塗料ならではの独特の表情が際立つのです。
素人的な感想で恐縮ですが、平滑にムラなく塗るよりも簡単で、しかも独特の雰囲気が演出できるのがありがたいです。

かくして2リットルをほぼ使い切って大きい本棚2つを塗り終えることができました。
ちなみに、この表面にやすりをかけると表面のクオリティがさらに上がります。

目の細かいやすりで表面を優しくこすってあげる感じ。

写真は以前、熱海の浴室の木製引戸を塗ったときの写真で、左がやすりがけ前、右がやすりがけ後です。右のほうがさらに鉄っぽさが演出できてベターなのは間違いないのですが、本棚の全体にやすりがけするほどの余力はもはやなく、見送りました。

よく見ると、ところどころに抜けたハケも塗り込められている雑な仕上がりですが、これ以上ちゃんとやろうとしたら、そもそもやる気にならなかったはずなので仕方ないかな、と。
■本の底面にアイアン塗料がかすかに付着するのが難点

これが塗り終えた棚を設置したところ。マットなブラックになったおかげで、空間が引き締まった感じがします。

このあと棚板を戻して本を並べて、現在の姿に至ることになります。
実を言うと、塗装を施してからすでに3年が経過しました。本棚を実際に使ってみて気になった点に触れておきますと、

アイアン塗料で塗った棚板の上に並べた本を動かしたり、取り出したりしていると、塗装面の表面が削れて本の底(「地」と呼ばれる部分)にかすかに黒い汚れが付着してしまいます。
先ほど、アイアン塗料にやすりがけするという話をしましたが、本の底で塗装面を軽くこするような感じになり、削れた塗膜の粒が付いたということだと思います。
これはアイアン塗料の性質上、仕方ないことのようで、気にならない人にとってはどうってことのないことでしょうが、イヤな人はイヤでしょうね。この記事を読んで本棚をアイアン塗装しようと思った方はこの点にはくれぐれもご注意ください。

ちなみに、うちの妻は大事な本を置く場所には黒い紙を棚板の上に敷いて本を保護しています。たしか、神田かどこかにある紙の専門店で買ってきていたはずですが、思ったよりも違和感がなくて驚いています。

以上のようなデメリットもありますが、ただ塗装のみで木目シートを変身させられるのはアイアン塗料ならではの強みだと思います。
なお、かかった費用はほぼアイアン塗料の代金のみ。

大きな本棚2個を塗って約2万円がかかった計算です。ふつうの水性ペンキにくらべると高額なのは否めませんが、下準備なしで塗装できるメリットも考慮すれば納得のいく価格だと思っています。


















