(490)いきなりの入居申し込みを受けて内見前に室内を整える
ここ数回にわたってこれまででもっとも高額な工事費用をかけた部屋をご紹介してきました。
この部屋、8年ぶりに空室となったのですが、退去前に募集広告を出してもらったところ、早々に申し込みをいただきました。申し込みといっても内見ではなく、入居契約の申し込みなのだから驚きました。不動産屋さんから連絡をもらったときにはすでに家賃保証会社の審査も済んでいた次第で。
正式な決定は室内を見てからとのことでしたが、こんなに乗り気になってくれるのがありがたい反面、実際に室内を見ていただいたときにがっかりさせないか、不安もありました。
なにせ募集広告に掲載されていたのは、8年前にピカピカの状態をカメラマンの邑口京一郎さんに撮影してもらった写真です。ただでさえ写真で下駄をはかせてもらっているうえに、8年の歳月を経て室内が若干汚れてしまったのは否めません。
見学の際に失望させたくない――そんな一心で内見前の準備にせっせと励みました。今回はその一部始終をリポートします。
■ルームクリーニングとふき掃除で室内はぐっときれいに
幸いなことに、こちらのお部屋にお住まいだった方はとても丁寧に部屋を使っていただいていて退去直後のクリーニング前でもかなり室内はきれいでした。
汚れがちな真っ白な壁もごらんのとおり。この距離から見たらクリーニングなしでも即入居できそうに見えるほど。
しかし、さすがに水回りには汚れが目立つ場所もありました。
ユニットバスや、
洗濯機置き場のあるサンルームの床はカビや染みなどの汚れが目立ちます。
毎回、退去直後の部屋を見ると、ルームクリーニングで一体どこまできれいになるのだろうと不安になるのですが、
さすがはプロ、目立った汚れはしっかり落として劇的にきれいにしてくれます。
でも、目立つ汚れが消えると、もっと小さな汚れが目につくようになるもの。離れて見るときれいな壁も、
近づくとちょこちょこ擦れ跡などが気になります。
ルームクリーニングでは壁についた擦れ跡などの清掃は基本的にはおこないませんから、このあたりは自分でなんとかするしかありません。
雑巾がけはもちろん、
消しゴムや厚手のウェットシートなども駆使します。
特殊な洗剤などを使わなくても、大抵の汚れはけっこうきれいになります。
特にあなどれないのが消しゴムで、床についた汚れをゴシゴシとこすると、
見違えるようにきれいになります。
天気のいい日が続いたので、掃除がてら日向ぼっこも気持ちいいものです。
■破損部分の修理と細かな設備の改善も
続いては8年の間に劣化した部分や破損した部分をメンテナンスします。
石膏ボードの下地が崩れ、グラグラになっていた折りたたみフックは取り外し、シーリング材で穴埋めします。
穴の中に注入し、表面をさっとふき取るだけ。プロの塗装屋さんのようにはいきませんが、穴が目立たなくなるだけで十分でしょう。
はずれてなくなった取っ手はインテリアショップで新しいものを用意して取り付けました。万一はずれてもケガの心配などがないものならDIYで交換はありだと思います。
さらに、白のプラスチック製だった水栓ハンドルやシャワーヘッドをシルバーカラーのものと交換してユニットバスを改善したり、
キッチンに設置されていたIKEAの壁面収納に小物入れを追加したりしました。
ささやかといえばささやかではありますが、これひとつでもぐっと便利になったりするものです。
さらに、エアコンは10年を越えていたので新しいものと交換してもらいました。
■天井の照明は無印のシーリングライトと交換
個人的に以前から気になっていたのがリビングのシーリングライト。
8年前、工事の直後で予算がなくて手持ちの余りものを設置したのですが、ドーム状の形状があまり好みではないので取り換えたいと思っていました。
本音をいえばガラッと雰囲気のちがう照明に変えてみたい気持ちもあるのですが、あまり劇的に変えてしまうと募集写真の雰囲気を期待した方を裏切ることになりかねません。今回はすでに入居の申し込みまでいただいているので近いテイストでもっとデザインのよいものを探してみました。
目をつけたのが無印良品の「LED木製シーリングライト(ナチュラル)」です。
木目調ではなく、木製の枠がついているのがいいですね。ラインナップされているカラーはナチュラルかダークブラウンなので、どちらを選んでもミディアムブラウンの天井とは色味が若干ずれてしまうのですが、今回はより近そうに見えるナチュラルをチョイスしてみました。
どのみち、点灯時に枠は影になるので許容範囲かな、と。
特筆すべきはリモコンのデザインです。日本メーカーの製品はリモコンが絶望的にひどいものが多いので、ついついイケアを選びがちなのですが、多機能でもこんなふうにきれいにまとめてもらえるなら大歓迎ですね。
なお、寝室のペンダントライトは以前から気に入っていたものなので、そのままにしました。
■空いた壁のスペースに鏡とフックを設置する
もうひとつ改善したいと思っていたのが、この壁です。
いつもならこんな感じで鏡やフックなどを設置するのですが、8年前はまだそんな発想もありませんでした。
ただし、今回にかぎっては内見写真にないものを不用意に追加するのにも注意が必要。乗り気で検討いただいている方がいる以上、まずは内見時に鏡がほしいかどうかを聞いてみることにしました。
結論から言うと「壁に鏡があるとすごくうれしい」とのことでしたので入居前に大工さんに設置してもらいました。
うちのマンションでは定番の無印良品の「壁に付けられる家具 ミラー ウォールナット材 中」です。
あわせて両サイドに同じシリーズのフックも設置しました。
服やバッグなどを鏡の横にかけられるので便利だと思います。
ちなみに、同じシリーズでもオーク材だとこんな感じになります。
ナチュラルカラーで優しい色合い。
和室テイストにも合うので使いやすいです。
■がんばったかいあって無事に成約
とまあ、こんな具合にさまざまな準備を経て内見当日を迎えました。
内見時にお話をうかがったところ、以前からうちのマンションのことを気に入ってくれていたんだそうです。別の部屋の募集があった際も検討してくれていたらしいのですが、気が付くと募集が終わってしまっていたんだとか。その経験もあって今回は急ぎの申し込みをしてくれたということでした。
てっきり仕事の都合などでの急ぎの転居かと思っていたので、うれしい意味で予想を裏切られました。大家としてはこれまでのがんばりが報われた気持ちで感激です。
室内をくまなくごらんになっていただいて満足いただけたようで、その場で正式にお申込みをいただくことができました。お人柄もよさそうな方で、いいご縁になりそうな予感です。
退去直後に内見&成約となると空室期間も一か月未満で済み、損失家賃もこれまでで最安で済みました。こういうのはめぐりあわせなので運がよかったという話でしかないのですが、がんばったご褒美だと思うことにしたのでした。