(767)【note再録】「タイムアウト東京」と「学大コモン」に見る学芸大学の「ふつう」な魅力(と再開発)

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今回は、noteからの再録記事をお届けします。

【note】「タイムアウト東京」と「学大コモン」に見る学芸大学の「ふつう」な魅力(と再開発)

以下、noteに掲載した記事とまったく同じ内容ですので、お好きなほうでお読みいただければと思います。


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「タイムアウト東京」と「学大コモン」に見る学芸大学の「ふつう」な魅力(と再開発)


前回、下北沢について考えた。

(754)【note再録】『コミュニティシップ』(とその裏側)で下北沢再開発の特殊性を知る

ここでも書いたが、下北沢の再開発について言及した書籍や雑誌の特集は数多い。

下北本いろいろ

小田急、市民運動団体や研究者、行政(世田谷区)など、さまざまな立場の人々がそれぞれの視点で下北沢について論じているのを見るにつけ、やはり下北沢は「語りたくなる街、語りたくなる再開発」なのだと実感する。

多様な立場からの証言を読んでみると、都市や街に関するさまざま視点や考え方があることがわかるし、それらがどうやって絡み合ってあの再開発に着地したのかを解きほぐして整理するのも面白いのではあるが、そういう読書は僕のように長らく活字から離れていた人間にとってはなかなか大変な作業でもあり、時々妙に疲れを感じてしまうこともある。

そこで、ふと思った。「街づくり」やら「再開発」やらといった切り口うんぬん以前に、「自分にとって身近な街で魅力的と思えるのはどこだろう?」と。

学芸大学駅

真っ先に頭に浮かんだのが「学芸大学」であった。

ごぞんじの方も多いと思うが、学校のほうの学芸大学ははるか昔にこの地を離れ、今では東急東横線の駅名にその名を残すのみとなっている。

目黒区鷹番

住所としては「目黒区鷹番」とか「碑文谷」、「世田谷区下馬」あたりになるのだが、僕も含め東急沿線に住む人々は「学芸大学」(とか「学大」)と呼ぶことのほうが圧倒的に多いと思う。たぶん、地元の人もそうではないか。

自分にとっては学生の頃に古本を漁りによく訪れてきた街であり、大家になってからは目黒通り沿いのインテリアショップめぐりに出かけるときの終着点でもある。夜遅くまでやっている店も多く、ひと昔前はクルマを出して家族で食事に行ったりもした。

しかし、ここ数年は足が遠のいていたので、再訪にあたって何か新しい情報はないかと思いタウンガイド的なものを探してみたが、見事に一冊もない。「自由が丘がガイドブックを作るようになったときに学芸大学も作っていたような気がしたが」と思って探したものの、20年前に発行されたきりであった。「Hanako」や「OZmagazine」はどうかと思ったが、学芸大学の名を冠した特集も見つからなかった。

まあ、当たり前といえば当たり前だ。そもそもこの街には「映える」ようなランドマークもない。

学芸大学の商店街

駅前を適当に写すとこんな感じになってしまう。「学芸大学」は取り立てて語りたくなることのない街、つまり「ふつうの街」なのだ。


■「タイムアウト東京」で「世界で最もクールな街」にランクイン!?

などと思っていたら、なんと「タイムアウト東京(Time Out Tokyo)」(ロンドンで刊行されているシティガイドの東京版。「ローカルエキスパートによる都市生活者のための東京ベストガイド」だそう)で2024年に「世界で最もクールな街」ランキングに選出されたという記事が出てきた。

【タイムアウト東京】学芸大学が2024年「世界で最もクールな街」ランキングに選出

いやいや、日本を飛び越えて「世界で最もクールな街」ランキングに選ばれるとは、これまた極端すぎやしないか。

が、僕が探したかぎりでは元のランキング記事には日本語訳が見つからず、“The 38 coolest neighbourhoods in the world”を斜め読みしてみた。

【Time Out Tokyo】The 38 coolest neighbourhoods in the world

ブダペストの歴史的な宮殿地区からシンガポールの繁華街であるオーチャードまで、38の異なる地区が選ばれている」のだが、「東京からは「学芸大学」が第15位にランクイン」したんだそうだ。世界で15位、マジか。

なんでも学芸大学は「東京で今、最もクールなネイバーフッドエリアであり、そして世界で最もエキサイティングな地域の一つ」なんだとか。「ネイバーフッド」はいわゆる「ご近所」のことで、最近の街づくり界隈でよく耳にする言葉だ。

沿線で有名な自由が丘や中目黒といった街に人気が集まる一方、そこまで商業化されていない学芸大学はリラックスした雰囲気で通な人々を引き付けているんだ、ということらしい。

学芸大学の商店街

そう言われてみると、自分が学芸大学に抱いているイメージとそんなにずれていない。駅前には東急ストア、西口と東口にそれぞれに商店街があって賑わっている。「よそゆき」ではない地元感がある。

サテライト

一方、ちょっと路地に入ればマニアックな個人店が散在していて、僕のようにわざわざ足を延ばしてもブラブラ歩きを楽しめる――それが学芸大学なのだ。


■「タイムアウト東京」がすすめる学芸大学のスポット

さて、「タイムアウト東京」が学芸大学を特集した記事はいくつかあるが、代表的なものがこれである。

【タイムアウト東京】学芸大学で過ごす24時間

題して「学芸大学で過ごす24時間」。

「え、学芸大学で朝から夜中まで過ごすの?」と、いきなり意外に思ったものの、読んでみると「朝」「昼」「晩」「深夜」に分けてスポットを紹介する記事だから、この街を訪れた時間帯に応じて参考にできるガイドのようなものだと理解すればいい。学芸大学からはちょっと離れた店も含めて紹介されているので、駅からだいたい徒歩15分圏内くらいで見積もっている感じだろうか。

詳しい内容は記事本体を読んでいただくとして、ここではその中から僕が実際に訪れたことのあるお店をいくつか紹介してみよう。

ヒグマドーナツ

「朝」の過ごし方としてすすめられているのが、東口商店街にある「ヒグマドーナツ」である。この店は近年のドーナツブーム前から人気の店で、甘党の僕はもちろん知っていた。以前は住宅街の中にあったはずだ。

ドーナツといえばコーヒーがほしくなるが、「タイムアウト東京」がすすめるのは目黒通り沿いの「神乃珈琲」である。

神乃珈琲

駅からはちょっと離れているが、大きな焙煎機の鎮座する広々とした店内が印象的で、「タイムアウト東京」の記事のアイキャッチにもなっている。今はなきホテルクラスカに泊まったときはここでドリップバッグを買ったのを思い出す。

街角のコーヒー店

しかし、昨今のコーヒーブームもあって学芸大学にも小さなコーヒー店が増えているようだから、せっかくなので個人店に飛び込んでコーヒーをテイクアウトしてみるのもよさそうだ。

さて、ドーナツとコーヒー持ってどこに向かうか。

「タイムアウト東京」はまず「清水池公園」を紹介しているが、コーヒーを持ったまま目黒通りを渡る気にはならないので、もうひとつのおすすめである「碑文谷公園」のほうを推したい。

碑文谷公園

大きな池があるオアシス的な公園である。昔、学芸大学で古本を買うとよくここのベンチで読んだりしていた。懐かしい。公園の入口の前には「Dean & Deluca」ができたと記憶していたが、すでに閉店してしまって別の店になっていた。

中央緑地公園

学芸大学の公園といえば、背の高い緑が涼しげな「中央緑地公園」もいい。「ヒグマドーナツ」や「神乃珈琲」からはこちらがいちばん近い。

と、ここまでが「朝」の過ごし方だそうだが、春や秋のような気持ちのいい季節ならば、午後にフラッと学芸大学を訪れたときの散歩ルートとしてもアリだと思う。

続いて「昼」であるが、実質的な中身はランチの店選びである。ラーメンの「びぎ屋」、カレーの「ボボ(VOVO)」などとともにベトナム料理の「スタンドバインミー」が紹介されている。

スタンドバインミー

自由が丘にある系列店「ラトリエドゥスタンドバインミー」にはたまに行くが、本家のこちらにはなかなかタイミングが合わず入れたことがなかったので、ちょうどいい機会だと思い、ランチを取ることにした。

冷やしフォー

夏限定のメニュー「冷やしフォー」である。冷たいフォーは初めてだったが、野菜たっぷりで夏バテしている胃にもするする入る。大山鶏もうまい。

続いて「夕方」の過ごし方はというと、「タイムアウト東京」はちょっと捻りの効いたショッピングを提案している。

釉遊人とサテライト

器の店「釉遊人」やCDショップ「サテライト」など、地元民にはおなじみの古参の店である。ひさしぶりにのぞいてみたが、どちらも以前と変わらない雰囲気でホッとした。

マッターホーン

ショッピングの合間の休憩には「マッターホーン」がすすめられている。学芸大学でケーキといえばここ、みんな大好き地元のケーキ屋である。昔ながらの喫茶スペースも良い。モカソフトが有名だ。

ちなみに、山の名を冠した洋菓子店といえば自由が丘の「モンブラン」があるが、あちらは再開発で大理石を敷いた鏡張りの素晴らしい店舗をつぶしてしまった。駅前の高層ビルに再出店するそうだが、内装がどうなるかが心配だ。

このあと学芸大学の「夜」の楽しみ方として、「タイムアウト東京」は夕食に居酒屋やスパニッシュバルなどをリストアップしているが、プロレス界隈ではおなじみの「ステーキハウス リベラ」も取り上げている。

ステーキハウス リベラ

何度見てもインパクトのある外観である。だいぶ前にプロレス好きの友人にせがまれて一緒に行った。しっかりとお腹を空かせてから訪れたい店だ。

目黒通り

このあたりまできてしまうと、自分ならば目黒通りのインテリアショップを冷やかしながら目黒駅のほうへ流れていきたいところだけれど、それは今回の趣旨から外れるので我慢。駅の近くに戻ろう。

「深夜」を楽しむ店としては銭湯とならんで古着の「エム」や「古本遊戯 流浪堂」などが紹介されているのも面白い。ただ、「タイムアウト東京」の記事では深夜でも入店可能と書かれているが、現在ではどちらも夜10時くらいまでの営業なようなので要注意である。

流浪堂の跡地

かつて「流浪堂」はマッターホーンから目と鼻の先にあったのだが、

古本遊戯 流浪堂

建て替えで高架下に移ったんだそうで、すっかりきれいな店構えになっていた。

古本遊戯 流浪堂

品揃えはあいかわらずで、マニアックな思想書、歴史書、アート本などが所狭しとならんでいて楽しい店である。学芸大学の古本屋は年々少なくなっているが、「流浪堂」が健在なのは喜ばしい。

とまあ、「タイムアウト東京」が紹介する学芸大学はこんな具合だ。この街に親しんだ人ならば驚きはないかもしれないが、みんなが楽しめるだろう「定番」を押さえていて悪くないガイドだと思った。

特筆すべきなのは、気取らないスタイルで普段使いできる店ばかりだということ。街の外からやってくる観光客ではなく地元民相手の商売がベースになっているところが多い。

前回、下北沢の再開発が「地元民が活き活きしていれば、お客さんや新しい住民が集まってくるはずだ」という考えの下におこなわれたことに注目したが、客寄せの「非日常」ではなく、その街の「ふつう」が魅力として注目され、外の人間を引き付けるのは本当に素晴らしい。

学芸大学の良いところは、商店街という「幹」から、小さな個人店が「枝葉」のようにつながり、シームレスに街並みが広がっていくところだ。

学芸大学の商店街

商店街には駅ビルに入るようなチェーン店もたくさんあるが、個人店と同じ高さ・目線で軒を連ねている。僕が学芸大学を好きな街に挙げるいちばんの理由である。

駅前にデカい商業ビルを建ててしまうとこういう雰囲気は出ない。チェーン店の詰まったビルとそれ以外、という街になってしまう。大規模な再開発がどんどん進んでいる自由が丘や中目黒とくらべてみると、学芸大学の「ふつうの街並み」が輝いて見える、と言ったら大げさだろうか。


■新しい学芸大学に出会える「学大高架下」と「学大コモン」

だけれど、「ふつう」であることは学芸大学が単に昔のままであることを意味するわけではない。学芸大学だって変化している。

学大高架下

驚いたのは東横線の高架下の変貌ぶりである。

学大高架下

あれ?こんなにきれいになったの?おしゃれな店がたくさんあって昔が思い出せないくらいだ。

学大高架下案内板

案内板によると「学大高架下(Gakudai Koukashita)」の名の下にさまざまな新しい試みがおこなわれているようだ。

気になって公式サイトを調べてみた。

Gakudai Koukashita

コンセプトは「南北1.2kmの「まちの縁側」」。

サイトに掲載されている「6つの特長」には、「ローカルビジネス」(「大手チェーン店舗だけでなく、学芸大学に拠点を置く個人店舗や地域密着型の店舗も数多く出店。ユニークな店主らを介して、顔が見える関係性を育む。」)や「まちとつながる」(「店舗連携イベントや学びのワークショップ、ゴミ拾いや防災等、「よりよいまち」を目指した地域活動を展開。まちに参加しながら、まちの人とつながる機会を提供。」)、「ポップアップスペース」(「個人でブランドやお店を始めたい方や、学芸大学での出店を検討するお店が、気軽にチャレンジできる場所を用意。価値を届ける側と、受け取る側が、ぐるぐると循環。」)といった特長が挙げられていて、地元(ローカル)との接点を大事にしようという意図が伺える。

学大高架下

シェアアトリエやシェアオフィスとともに個性的な飲食店が軒を連ねる「Gakudai Collectiv」、先ほど紹介した「流浪堂」も属する「Gakudai Park Street」、昔ながらのスナックなどが並ぶ「学大横丁」など、どこも個人店の割合が大きく、どんな店かは入ってみないとわからないのが良い。側は新しいが、中にはローカルな街の雰囲気が漂っている。

カウンターブックス

中でも目に留まったのが「カウンターブックス(COUNTER BOOKS)」という本屋さんである。まず、このご時世、新しい本屋が開店したことに驚く。

カウンターブックスの本棚

書籍を置く棚は決して大きくはないが、個性的なセレクトが目を引き、眺めているだけで「こんな本があるのか」と楽しい。

カウンターブックスの飲み物

併設されたカフェ&バースペースでは飲食もできる。千円以上の本を買うとドリンクが安くなるおまけもある。夜はバーになるらしい。

学大コモン

ここで見つけたのが表題にも挙げた「学大コモン」である。

「take free!」で表紙もモノクロなので油断したが、開いてみるとこれがなかなかしっかりしている。

特集は「学大の部屋たち」で、学芸大学で暮らす人々のライフスタイルとインテリアを写真とともに紹介している。不動産屋さんが語る学芸大学のエリア解説(碑文谷・下馬・中央町)の分類も勉強になったし、「暮らしを彩るGAKUDAI MAP」には僕が知っている店がひとつもなくて、また歩いてみようという気になった。この種のフリーペーパーにありがちな、地元の店のつまらない広告の羅列もなく、内容が充実している。

この学大コモン、どんな人が作っているのだろうと思ったら、

上田太一

「カウンターブックス」の代表の上田太一が企画と編集を担当していた。

あとで知ったのだが、学芸大学の高架下のリニューアルの仕掛け人の一人がこの人なのだった。先の「タイムアウト東京」にも「カウンターブックス」がオープンした際の記事が掲載されていた。

【タイムアウト東京】学芸大学高架下に知的好奇心を売る書店「COUNTER BOOKS」がオープン

なるほど、ここは学芸大学の新しさの中心地なのだ。

こうなると「学大コモン」のバックナンバーが気になってきて、いくつか入手してみた。調べてみたら学大高架下のホームページで無料で読むことができるので気になる方はそちらをどうぞ。

学大コモンの書影

第一号は、高架下のリニューアルを控えた2023年の4月に発行された。流浪堂のご主人のインタビューなどとともに、「これから学芸大学の高架下はこんなふうに変わりますよ」という告知をするような内容だ。

続く第二号の特集「#学大夏景色」では飲み食いに割かれたページが多く、僕が食べた「冷やしフォー」も紹介されていた。他の店の「夏麺」も気になるし、「今、外吞みが気持ちいい!」なんてページは酒飲みにはたまらないはずだ。

第三号は「まちで、はたらく。」。高架下のシェアオフィスと絡め、学芸大学で働くというライフスタイルを提案する。実際に働いている人々の座談会が興味深い。

第四号「このまちの“アフタースクール”」にしても、第五号「冬のほっかほか案内」にしても、僕のようなよそ者が読んでも面白いが、基本的には地元民の方を向いた内容である。

学芸会

発行を見ると「学芸会」と「東急」との表記である。高架下を所有しているのは東急だからそれは当然として、「学芸会」とは?

グーグルで検索してみると、こんな文言が見つかった。

運営会社「一般社団法人 学芸会」 について
学大高架下リニューアルプロジェクトで新たに誕生する複合施設「GAKUDAI COLLECTIV」の運営を目的に2024年2月に設立。
住民の皆さまはもちろん、ローカルの店主や企業、クリエイター、商店会、行政などと 連携しながら地域のよりどころとなるイベントやメディアの制作にも携わり、持続的な地域価値を創造していきま
す。」

この一文が掲載されていたのが、「omusubi不動産」のホームページなのである。

「omusubi不動産」の代表・殿塚健吾は、先の上田太一とともに「学芸会」を運営していて、新しい学芸大学のエンジンとも言えるような存在らしい。


■「学大高架下」は下北沢の「BONUS TRACK」と同じ方向を向いた試みなのだ

ここですべてがつながった気がした。

「omusubi不動産」は前回紹介した下北沢の「BONUS TRACK」にある不動産屋さんで、テナントの管理や契約をおこなっている会社である。

omusubi不動産

この会社が学芸大学の高架下にも関わっているのは偶然ではあるまい。あらためて「学大高架下」のコンセプトを確認してみよう。

リニューアルコンセプト:南北1kmの“まちの縁側”
「まちに関わりたい」、「まちの人とつながりたい」、「まちにもっと居場所が欲しい」。
皆さまから寄せられた多くの声をヒントに、
リニューアルのコンセプトを「南北1kmの“まちの縁側”」に設定。
高架下をひとつの大きな縁側に見立て、お気に入りの居場所も、仕事も、友人も、
ちょうどよく混ざり合うような場所を目指して準備を進めています。
暮らしの中心がもっとローカルへ。
学芸大学が「最寄り駅」ではなく「ジブンのまち」となる
ことを願って。」

東急、2023.4.25プレスリリースより)

≪地元住民と個人店に重きを置いた街づくり≫。

このコンセプトはやはり、小田急と散歩社と「omusubi不動産」が下北沢の「BONUS TRACK」でおこなった再開発にそっくりである。

下北沢の「BONUS TRACK」

この成功を手本に東急と「学芸会」が「学大高架下」を作り上げたのだろうか。それとも、こうしたコンセプトによる再開発が期を同じくして生まれたのだろうか。前回、「下北沢の再開発は特殊過ぎて、なかなか真似できないのではないか」と書いたばかりだが、近くにこんな類例があったとは不覚であった。


■鉄道会社がのびのびと開発できないことが良質な再開発の条件なのか?

鉄道会社の再開発というと、駅を含めた建て直しや、地下化に伴う跡地利用ばかりに目が行っていたが、よくよく考えてみると高架下の有効利用も大事なポイントである。

学芸大学の高架下

高架下は線路ありきの構造だから高さにも限界があるし、騒音の影響で用途も限られるため、大がかりな再開発はなかなか難しいのだが、この制約がかえって良い結果を生んでいるのではないか。

構造上の制約があることで東急は金儲けに全振りするような開発ができず、地元とのつながりを重視したリニューアルを模索したのだろうと推測する。

下北沢のケースもそうだが、皮肉なことに鉄道会社がのびのびと開発できないことが良質な再開発の条件になっているような気がする。

とにもかくにも、東京の目黒区の駅近に個人が商いできるような場を創出したことは素晴らしいことだ。

学芸大学の案内マップ

東西の商店街に加え、南北に走る東横線の高架下が新たに生まれ変わったことで、学芸大学の町にさらなる広がりがもたらされた。デカいビルを建ててどこにでもあるようなテナントを誘致する街づくりよりも、ずっといい方向に街が変わっていると思う。

学芸大学の路地

というわけで、ただ自分が好きな街をブラブラ歩くつもりが、またも再開発の話に行き着いてしまったが、うれしい発見だったのでよしとしよう。また学芸大学に通う日々が始まりそうだ。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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