(272)さまざまな下地に珪藻土塗料を塗りくらべて感じたコツ
前回は、砂壁に「U SELECT」の「珪藻土塗料」を塗ってリフォームしました。
水まわりの工事では砂壁以外の場所にも珪藻土ペイントを施しています。
大工さんに造作してもらった壁などの「合板」、トイレ内に元々貼られていた「ビニール壁紙」、既存の「建具の面材」など、さまざまな場所を塗装したおかげで下地ごとに注意するポイントがなんとなくわかりました。
というわけで、今回は下地の観点から珪藻土塗料の塗装のコツをまとめてみようと思います。
■合板は丁寧な下地処理が成否を左右する
大工さんに構造部分まで仕上げてもらうと壁などは合板でできあがってくることになります。
その場合、板と板の継ぎ目や段差が残ったままになります。
これは昨年のキッチンの壁ですが、遠目に平坦でも近くで見ると板の表面に凹凸があるのがわかります。
まず最初に段差やデコボコが目立つ場所だけは荒めのやすりでサンディングしてあげて、そのあとパテを打つほうが効率的でしょうね。
パテは昨年使って余った吉野石膏の「タイガーパテ」を使いました(画像をクリックすると「Yahoo!ショッピング」に飛びます)。
練り方などについては以前の原稿をどうぞ。
作業としては、
パテを打って、
乾いたらやすりがけ。
一回のパテでは段差が埋まらないことも多いので二回目のパテはほぼ必須です。二回目を終えても、まだきれいに仕上がらないこともあります。
これは二回パテを打ってやすりがけした壁ですが、塗装後に凹凸が残っているのがわかります。労力を惜しまず仕上がりにこだわるのなら三回目のパテも打つといいかもしれません。僕にはその根性はありませんでしたが……。
続くシーラー塗装も大事。木材を塗装する場合、塗装後に内部のアクが表面に浮き上がってくることがあります。
これは昨年塗装したキッチンの壁。けっこう丁寧にシーラーを塗ったつもりだったのですが、ごらんのとおり染みのようにアクが浮き上がってしまいました。こうなると塗料を塗り重ねても、しばらくすると同じ状態になってしまい、リカバーできません。シーラーはしっかり塗ることをおすすめします。
■天井の塗装には大きめのローラーと柄を用意するとラク
同じ合板でもシナベニヤのように表面がきれいな木材なら処理は比較的ラク。
こちらは水まわりの天井。
当初はオイルで仕上げるつもりだったのですが、釘などの跡がけっこう目立つので、珪藻土塗料による塗装仕上げに変更しました。
先ほどの木下地とくらべて平滑なので、パテで埋めるのは釘の跡や継ぎ目だけでOKです。
ただ、天井の塗装は上を向いての作業となるので、シーラーを塗るのも塗料を塗るのもなかなか大変。
今回は天井の面積が大して広くないので脚立を準備して小さなローラーで塗装しましたが、
昨年キッチンのある部屋の八畳の天井を塗装した際は、大きなローラーに延長用の柄を取り付けて作業しました。
脚立を運ぶ手間もなく、無理な姿勢を取らなくてもいいので、広い範囲を塗装する際にはおすすめです。ただ脚立での作業とくらべると塗料の飛沫は飛びやすいので養生には気をつけてください。
塗装後の水まわりの壁。けっこうきれいに仕上がりましたが、前回ご紹介した砂壁を塗装した場合とくらべると平坦で、質感や表情はかなり異なります。
「珪藻土」と名がついていても、表面の凹凸が埋まったりするほど塗膜が厚いわけではありません。下地が異なると塗装後の表情も異なると思うべきです。
もし全体的に統一感を出すならば、砂壁のような凹凸のある壁を平滑にするか、平らな木部に凹凸をつけてあげるかする必要があります。
と思って探していたら、こんな商品を見つけました。
塗装前に塗ると表面に凹凸がつけられるんだそうで、次の機会にはぜひ試してみたいです。
■ビニール壁紙は辛抱強い下地処理が大事
続いてはトイレ内に貼られた壁紙の塗装です。
トイレということで防汚性能のあるビニール壁紙が貼られています。
塗ってみるとわかりますが、木下地や砂壁とちがってシーラーがほとんど浸み込みません。というか、ぱっと見だときちんと塗れているのかもよくわかりません。
光が当たるとシーラーのツヤがなんとか感じられます。たくさん塗ってもたれてくるだけなので薄く塗り重ねることをおすすめします。
こちらはトイレのドアの内側。古い木の建具とはいえ面材には汚れをカバーするような処理がなされているらしくシーラーは浸み込みません。こちらも辛抱強く塗り重ねました。
写真はマスカーのビニールのシワの形に固まったシーラーです。無精してたっぷり塗った結果、下にたれたシーラーが養生テープのスキマから漏れ、固まってしまったのでした。
タイルなのでしっかりふけば落ちます。よかった……。
もし(無塗装の木材のような)浸み込みやすい壁や床だったら取り返しのつかないことになっていたかもしれません。
壁紙が下地の場合、シーラーを塗り過ぎないことも大事なポイントだと感じました。
■ビニール壁紙には二度塗りや三度塗りが必要
トイレ内の壁と天井に塗ったのは「クラウド(cloud)」と名付けられたグレー。
前回、珪藻土ペイントは一度塗りでOKと書きましたが、それはあくまで塗料が乗りやすい下地の場合。
ビニール壁紙のように塗料が乗りにくい下地の場合、いくらしっかりシーラーを塗っても一度塗りでは色が乗り切りません。
とくにこの「クラウド」は、前回ご紹介した「スモーク」や昨年キッチンに塗った「タープ」とくらべて薄い色ということも関係あるかもしれません。
一度目の塗装完了後の時点では、かなりムラが目立ちますね。
もう一度重ね塗りしてあげると、しっかりと色がつきました。
二度目の塗装が完了すると、ムラなくきれいに仕上がりました。
ドアの裏側も二度塗りでしっかり色が付きました。
ドアの小窓のプラスチックの窓枠。
こちらもシーラーを塗ったのでしっかり塗料が乗りましたが、耐久性の保証はないかな。頻繁に触らなければ問題なさそうです。
■トイレ内の塗装は足場の確保や養生が難しい
ところで、水まわりの他の箇所にくらべてトイレ内の塗装は予想以上に大変でした。トイレを早く使えるようにしたいあまり、タイルDIYの完了後にすぐに便器を設置してもらったのですが、便器があるとどうやっても脚立が立てられないのです。
仕方なく便器のフチに足をのせて脚立代わりにして天井を塗装しました。バランスを取りながら天井を塗ると脚がプルプルして、かなり辛いです。足の裏が筋肉痛になったのは生まれて初めての経験でした。
トイレが使える状態にしつつ養生するのもけっこうな手間でした。便器を取り外さずに壁や天井を塗装したいという方はいると思いますが、思った以上に面倒なので覚悟してください。
塗装後に養生を剥がしたトイレ。タイルを張ったホワイトの部分と、壁紙を塗ったグレーの部分でツートーンに仕上げてみました。
タイルとの絡みもきれいに仕上がりました。満足。
ドアの内側はタイルの高さまでは余っていた白のペンキ(珪藻土塗料ではありません)で塗ってみましたが、こちらも色が乗りづらく結局三度塗りしました。
珪藻土塗料の塗装が完了したので続いては木部の塗装に入りますが、次回はひさびさに離れの話をしようと思います。